南米北西部の国で国土のすべてが南北回帰線の間にある。
基本的に熱帯性の気候だが、気候はアンデス山脈の高度によって変わり高地でコーヒーを栽培している。
2度の乾季と雨季があり、朝夕の気温差が大きい山地型の気候、水はけのよい弱酸性の土性、年間2,000mmをこえる降雨量はコーヒー栽培に理想的な環境と言える。一般に北部から南部に向かうにしたがってコーヒー栽培の高度が高くなる傾向がある。
コーヒー生産高第3位でありながら大規模農園の割合は非常に低い。主要な産地はボヤカ、サンタンデル、ノルテ・デ・サンタンデル、トリマ、ウイラ、カウカ、ナリーニョ等。
ナリーニョ県の生産地は大きく4地域に分けられる。
Norte | : | 北部山地(San Pablo, Colon, La Union, San Lorenzo, Taminango等) |
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Dona Juana | : | ドナ・フアナ火山周辺(Buesaco, San Pedro de Cartago等) |
Galeras | : | ガレラス火山周辺(Consaca, El Tambo, Sandona等) |
Pacifico | : | 太平洋側の影響を受ける西部山地(Samaniego等) |
ナリーニョのコーヒー産地は全体に深い谷が走っており、なだらかな平地部分は牧草地が占め、 急峻な深い谷の両斜面にコーヒー畑が広がっている。2,000mを超える標高でもコーヒーが栽培されているが、これだけ高い標高でもコーヒーが栽培できるのは、赤道に近いという理由の他に、深い谷から暖かい空気が急傾斜をつたって上がってくることで夜の気温低下を緩和していることも一因となっている。
ナリーニョには約35,000〜40,000軒の農家が存在する。各農家の平均面積は1ha以下で国内最小の値。農家は換金作物として果物や自家消費用の食料をコーヒーと混植している。
※キャッサバ=主食、ポテト(ユカという植物)=主食、メイズ、バナナ、マンダリン、唐辛子、パパイヤ、マンゴー、ルロ(果物)
各農家はそれぞれドライパーチメントまで仕上げ、それをFNC(コロンビアコーヒー生産者連合会)や民間の輸出業者が買い取る。業者によって取り組みはことなるが、プレファイナンスや資材の提供、プロセシングや栽培の教育・分析支援等を農家へ提供することで品質向上や安定的生産を確保し、調達ソースの安定化をはかっている。尚、FNCについては最低価格買取保証も実施しているため、各農家は良いものを高く買ってくれる業者に納入し、売れなかった品質のパーチメントを買い取り保証に回しているという話もある。しかし、FNCも品質に応じたパーチメントの受け入れを実施しているため、高品質なナリーニョ産商品を作る事も可能。
各農家での生産方法については一般的に次の通り。
・苗は市場で購入、自家製、自然交配のいずれかで混沌としている。
・主要品種はカトゥーラ、コロンビア、カスティージョ。
コロンビア人は背が低くティピカなどの品種は収穫がしにくく生産性が悪いことから、まずカトゥーラが広まった=樹高が低く、収穫性も高い。ただしさび病に冒される。 そこで、生産量・さび病耐性にすぐれた品種としてコロンビア品種が開発された。 現地の方の話では、きちんと完熟のチェリーを摘めばカップクオリティは高い。ただし、未熟が入るととたんにロブスタ臭が発生することに問題があるとのこと。現在はカスティージョへの植え替えが進んでいるが、農家によってはカトゥーラの方が品質が良い、コロンビアの方が良いと意見が分かれており、実際にカスティージョから植え戻している農家もある。
コロンビア南部は大規模な農園というよりも小規模生産者が多く、 FNCや他のエクスポーターが地域ごとにコレクティングポイント(買付場所)を設けてパーチメントを集め、ロットを仕立てている。従って単一生産者の商品は超マイクロロットを除きほとんどない。 このロットもエクスポーターがエル・タンボ市の農家よりパーチメントを集買し、選抜したもの。同市のロットがいくつもある中で最も良いものを選定した。精製は伝統的なウォッシュト。
ドナ・フアナ火山周辺に位置するブエサコ市の農園。ブエサコ市は街からのアクセスが比較的よく、ナリーニョの他のエリアと比べ農園が多い。
この地域の収穫期は3〜7月だがラ・ミーナ農園は6月下旬-7月と遅いのが特徴。この生産者の農場は収穫期が遅いのが特徴。コンテストの入賞も多く非常に高い評価を受けている。
ドナ・フアナ火山周辺に位置するブエサコ市の農園。
ラ・ミーナ農園と近い場所にあり、収穫期の遅さなどの特徴は同じ。