美味しいコーヒーを飲むには

コーヒーに欠かせない
プロセス『焙煎』

生のコーヒー豆って、見たことありますか?
まだ焙煎をしていない生豆は緑がかった色をしています。

それを焙煎することで、普段目にするあのコーヒー豆の色になります。
もちろん焙煎の目的は色付けではなく、生のままでは良い香りも味も感じられないコーヒー豆を、飲める状態にすることです。

コーヒーは素材がすべて

焙煎はとても大事な工程ですが、美味しくすることはできません。
なぜか?
素材が本来持つ以外の味や香りは引き出せないからです。
料理で考えれば分かりやすいですよね。
美味しく作ろうと思えば一番大事なのは良い素材を使うこと。
技術も大事ですが素材の良さが大前提です。
ましてやコーヒーの焙煎は火を通す(煎る)だけ。
色々な調味料で味付けをすることもない直球勝負です。

もし焙煎する人間が『味付け』的なことをしてしまったら、そのコーヒー豆を扱う必然性が薄れてしまうので、とにかく素材の邪魔をせず活かしきる。
これがMuiの考える理想の焙煎です。

素材に関しては元職場の『堀口珈琲』が買い付ける本当に素晴らしい作り手たちのコーヒーを分けてもらえるので、本業の焙煎に集中できています。
買い付けから自分でした方がと考える方もいるようですが、個人的にはそう考えていません。
だって美味しい料理を作るのに素材の生産まで、全部やる必要はありませんよね。
むしろそれぞれのプロが担当した方が良いものが提供できると思いませんか?

地味だけど大事な選別

良い素材を適切に焙煎できたら終わり、じゃないんです、実は。
焙煎の後にそれはもう地味な『選別』という作業があります。
ちょっと驚いてしまうことなんですが、世界中見まわしてもほぼ日本のごく一部でしかされていないんです、この焙煎後の選別って。
「良い生豆は産地できっちり選別されているから焙煎後の選別は必要ない」
という意見、たまに目(耳)にしますが、半分本当で半分は間違いです。
確かに良い生豆は産地できっちりと選別されています。
だからと言って焙煎後の選別をしなくて良いことにはなりません。

農作物であるコーヒーには色々な種類の『欠点豆』が混入しています。
虫に食われていたり、カビが生えていたり、未完熟だったり。
その中に何らかの理由で養分が足りずちゃんと生育しなかった『クエーカー』という欠点まめがあります。
厄介なことにこのクエーカー、生豆の状態ではどうやっても選別ができません。
ただ幸いなことに(?)成分が未発達なためあまり色つかず、焙煎後に健全なコーヒー豆との色の差がはっきりと出るので選別することができます。

これが地味な作業で焙煎量が増えるとなかなか大変なんですが、やるとやらないとでは味や香りにもの凄い差が出ます。
選別をしていないものを試しに飲んでもらうと「これ、ほんとにMuiのコーヒー???」と必ず言われるほど。
それくらい差が出る大切な作業なので、すべてのコーヒー豆を選別していますが「そこまでやるんですね」なんて言われることも。
でもこれ、本来当たり前にやるべきことでこだわりでも何でもありません。

例えばブルーベリーでも苺でも良いんですが果物を買って来たとします。
見ると傷んでいるものが混ざっています。
1パック丸ごとジュースにするとしてそれを取りのぞくかどうか、というのと同じ話し。
一緒に入れちゃえ、とはなりませんよね。

美味しいコーヒーを飲むのはむずかしい?

「コーヒーってむずかしそう。」

って思っていませんか?
素材や焙煎、選別の話しを読んでやっぱりむずかしそうと感じた方もいるかもしれません。
でも、実際はちっともむずかしくなんかありません。
上に書いたこと、特に焙煎なんかは奥が深いしむずかしいことですが、それは僕たちプロが担当する部分。
皆さんの手元には『むずかしいこと』がすべて終わったコーヒー豆が届きます。
あとは普通に淹れてもらうだけ。

コーヒーの抽出もむずかしいことのように言われていますが、本当に簡単です。
『3つの数字』を守るだけで良いので技術なんていりません。
お米を炊くのも正しい知識があれば簡単ですよね。
練習なんていらないはず。
その辺りのことを詳しく解説した記事 美味しいコーヒーの入れ方『ペーパードリップ編』を書いたのでお時間のある時に読んでみてください。

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